« 年明け早々・・・ | トップページ | トレーニングに使う道具 »

2008年2月 1日 (金)

獣医行動学セミナー

先週末の2日間、ロンドン近郊にあるロンドン大学付属王立獣医大学(Royal Veterinary Collage)で、
獣医学生や動物病院スタッフ向けの行動学セミナーに参加してきました。
講師は以前サイトでも紹介した動物行動治療の権威であり、
カンパニー・オブ・アニマルズの社長でもあるロジャー・マグフォード先生と、
獣医師でペット行動カウンセラーでもあるケンダル・シェパード先生の2人とあって、
たくさんの人たちがセミナーに集まりました。
会場には、ロジャー先生が発明した商品が並び、
さらに参加者の数人が連れてきた犬たちもいて、
講義だけでなく実践も加えた講義となりました。

タイトルは、「行動学を日常の動物病院の診療にどう取り入れるか?」
それはまさに、私が今取り組んでいることでした。
今回は犬に関する内容がほとんどでしたが、
子犬が初めて予防注射に来た時の診察法から始まり、
パピーパティーの開催、毎年の予防注射や健康診断でのアドバイス、
そして病院で攻撃や不安を示す犬への対応の仕方、
入院中に吠える、攻撃的になるといった犬への対応法など、
明日からすぐに病院で試せそうなことばかり。とっても参考になりました。

2日目は、犬が体で表現する様々なサインのうち、
人間が理解してあげなければならない重要なものについてのお話でした。
ケンダル先生はこれらのサインを、「攻撃行動への階段」と呼ばれる図に当てはめました。
階段の下の部分のサインは犬が相手に対し、「お願いだからそっとしておいて」というメッセージを伝えているもの。
そういったサインが無視された場合、次はこれ、それもダメならこれと違うサインを次々に出し、
相手に自分の気持ちを理解してもらおうとします。
犬はこのサインを出すことで、自分の今の気持ちを分かってもらい、争いを回避しようとしています。
(人間でいうところの話し合いで解決しようという姿勢を見せる)
こうやってサインを出すごとに犬の気持ちは攻撃行動への階段を一歩ずつ登っていきます。
全ての攻撃回避へのサインに気づいてもらえず、無視された場合、
犬は最終手段として相手に噛みつくという行動に出るのです。
犬だって本当は相手を攻撃したくない、できれば争いなんかしたくないのです。
だって争えば自分だって傷つく可能性があるのですから・・・。
でも相手の人間がその訴えを聞いてくれず、怖いこと嫌なことを止めてくれないから、
最後は自分の最大の武器である歯を使い、噛みつくしかないのです。
犬は、自分がリーダーになり、人間を支配したいために攻撃行動を示す時という説がありましたが、
犬の気持ちをそう捉えるのではなく、犬と人間とのコミュニケーションがうまくいかない結果、
攻撃という最終手段におよぶと考えるのが先生の説です。
では、攻撃行動を止めるにはどうすればいいか・・・?
何よりも、犬とのコミュニケーションをうまくとることが大切です。
そのためには、人間が犬をよく観察し、犬が送っているサインをよく読み取ること、
そして毎日のトレーニングを通じて、犬に人間の送るサインを理解してもらうことです。
無理に犬に人間の主張を押しつけるのではなく、
お互いにコミュニケーションをきちんと取ることが、犬との関係でも求められているのです。

Cimg1151_3 ケンダル先生(左)、そしてパピークラスを一緒にやっているニーナ(中)と共に

|

« 年明け早々・・・ | トップページ | トレーニングに使う道具 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。