トレーニングに使う道具
もう3月ですね。
1月の大学院の授業の宿題を無事提出しました。
今回のお題は「犬のトレーニングで使用される、電動首輪の是非ついて」で、
賛成意見・反対意見の両方を書かなくてはいけませんでした。
こちらでは、よくあるレポートのパターンで、
たとえ自分が反対という意見を持っていても、
必ず賛成の意見も書かなくてはいけません。
こうすることで、自分の意見が偏るのを防ぎ、
公平に判断ができるというわけです。
電動首輪というのは、リモコンや犬の吠える声に反応して作動する
ショックカラーやスプレーカラーのことです。
スイッチが入ると、首輪に電流が流れ犬にショックを与えたり、
嫌な匂いのスプレーが鼻先にシュッと発射されて犬がびっくりするというものです。
多くの場合吠える問題を治すのに使われますが、
それ以外にも、電気ショックカラーを使ったトレーニングを
行っているトレーナーさんもいます。
例えば犬が羊などを追いかけて遠くに行ってしまう場合、
リモートコントローラーを使いショックを与えることで
遠隔操作によるトレーニングが可能です。
追いかけている間はボタンを押し続けずっとショックを与えます。
ショックを受けると犬は苦痛なので、追いかけるのを止めます。
犬が止まったらショックを止め、トレーナーは犬をよびもどします。
戻ってきたらうんと褒めてご褒美をあげます。
犬は痛い思いをしたくないですから、すぐに望ましくない行動を止めます。
逆に飼い主のそばにいれば嫌なことが起こらないこともすぐに学習できます。
ショックカラーはそういった意味では、望ましくない行動を止めさせる効果が高いです。
しかし、このショックカラーの使用は、賛否両論分かれ、大変な議論を呼んでいます。
電気ショックを使わなくても犬は十分トレーニングできるというのが反対派の意見です。
そしてショックカラーを使った犬は、恐怖や痛みの経験から、
日常的にストレスや不安の症状を示すようになったり、
ショックを与えた時に近くにいた物や人(たまたまそこを歩いていた人など)とショックを結びつけ、次からそれに攻撃的になる場合があるからです。
そして何よりも危険なのは、一般の飼い主さんがネットなどで
簡単にこういったカラーを入手できることです。
トレーニングの知識と経験のない人が間違った使い方をして、
必要以上のショックを与えたり、
悪い行動を罰するだけでよい行動にご褒美をあげないため
犬がよい行動の学習ができず、いつまでたっても問題行動が治らない
という危険があります。問題行動が治らなければ飼い主は不満に思い、
半ば永久的にショックカラーを使い続けます。
そうすれば、犬は毎日のようにショックと痛みの中で生活しなければいけなくなる
というわけです。
レポートを書くために、賛成意見・反対意見をたくさん読みましたが、
主に首輪の使用に賛成する人たちは、
飼い主やトレーナーなど人間サイトの意見として述べているのに対し、
反対する人たちは犬の立場に立って意見を述べているようでした。
今回は電動首輪がテーマでしたが、
こういった道具は他にもたくさんあります。
例えばチョークカラーやスパイクカラーと呼ばれる道具も、
電動首輪と同じ原理で、望ましくない行動に対し苦痛を与え、
よい行動をした時に緩めて楽にしてあげるというものです。
もちろん、普通の首輪を使っても、強く引っ張れば同様のショックを与えます。
できればこういった苦痛を最低限にし、
逆に犬が喜ぶご褒美をたくさん使い犬にやる気を起こさせる方法で、
望ましい行動をどんどん増やしていきたいものです。
その方が、犬はもちろんのこと、トレーニングをしている飼い主だって
楽しく感じるのではないでしょうか?
レポートを書き終えて強く感じたのは、どんな道具をどのように使うにしても、
それは人間の都合に左右されているんだなということでした。
犬にしてみれば、吠えるのも何かを追いかけるのも全て普通の行動で、
悪いことをしているわけではありません。
人間にとってその行動が不都合だから、こういった道具が使われるのです。
じゃあ、犬に苦しみを与えないために、
犬は好き勝手なことをして人間が我慢すればいいのか?
というと、そういうわけにもいきません。
飼い主が我慢できても、周りからの苦情があれば、
結局犬を捨てなければいけない事態になることもあります。
捨てられた犬はよい飼い主が見つかればいいですが、
日本だとそれは難しく、死を待つのみということになってしまいます。
犬は人間社会で暮らしている以上、
人間の都合に合わせて生活しなければいけないのです。
そうであれば、トレーニングも何もせずに犬に好き勝手させておき、
飼い主にとって都合が悪くなったら捨てるというのが、何よりも一番問題です。
できるだけ苦痛の少ない、楽しめる方法で、
そして必要であれば正しい知識と方法で道具もうまく使いながら、
人間と共生できる犬を育てて行くのが、
飼い主の、そして飼い主さんにアドバイスする私の責任であると強く感じました。


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