2006年1月13日 (金)

今、私が取り組んでいること

私が今メインで取り組んでいる主要テーマは、
獣医療と動物行動心理学、トレーニングの融合です。
堅苦しい表現になってしまいましたが、具体的にいえば、
「心と体はどのように関係しているのか?
それが動物の健康や病気にどういう影響があるのか?」

ということを、実際の毎日の動物病院での診療をもとに、
研究していこうというものです。

これは、決して新しいテーマではありません。
特に東洋医学の分野では、
遠い遠い昔から、心と体をひとつのものとしてとらえ、
総合的に治療していく方法がとられているのは、
日本人の皆さんなら、なんとなくわかるのではないでしょうか?

ところが、かたや西洋医学では
心と体はまったく別のものとして取り扱われてきました。
つまり、病気とは体の異常であり、心とはなんら関係はないと思われてきたのです。
また、心の病気は精神疾患というカテゴリーで扱われ、
体の疾患とは切り離されて考えられています。
近年になってから、ストレスという言葉が使われ始め、
ストレスと病気の関係などの研究も進められるようになって来ました。
つまり、一時は西洋医学と東洋医学は全く違う考え方をしていたのですが、
ここに来て再びお互いの存在を認め合うようになってきたということです。

それでもまだ、イギリスの現代医学では、
心の存在を念頭に置いた治療は補完的治療と捉えられていて、
治療の中でも補助的なものと認識されています。
そんなわけで、こういった診療をまがいものじみたものに思ってしまう人も中に入るわけです。

・・・と、以上は人間の医学での話。
さらにこれが動物医療にあてはめるとなると、
これがますます「まゆつば的」なものに感じられてしまうのは、
仕方がないことかもしれません。
なぜなら、人間である私たちが、
犬や猫たちがストレスを感じるということが、
果たして本当にあるのか?また何がストレスになるのか?ということを、
本当に理解することは、できないわけですから・・・。
犬や猫は動物病院で、「私もいろいろストレスを抱えていてねぇ~。」
と人間に言葉で伝えることができませんからね。

そうだからこそ、私の興味は尽きないわけで、
獣医学、動物行動学、心理学、トレーニング理論などと、
実際の臨床症例を合わせて、
さまざまな角度からこのテーマに取り組んでいるというわけなのです。
そして、一度はまったら、その奥が深いことといったら・・・!

というわけで、私のささやかな取り組みを、
こちらのブログで少しずつ紹介していっていますので、
お時間があるときにでも、是非1度いらしてみてください。

犬と猫の心と病気のお話ブログ

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2006年1月25日 (水)

鍼治療の番組

今日、BBC2でとても面白い番組をやっていました。
BBCはときどきこういった科学番組を放送してくれるので、
大変勉強になります。

年末は虫の世界を追ったドキュメンタリー、
「Life in the undergrowth」というのを放送していて、
息子と2人でテレビの前に釘づけになってしまいました。
この
番組のビデオが見られるので、
興味のある人は1度見てみてください。
自然界の不思議さに息を呑むと同時に、
カメラワークの素晴らしさに感動するはずです。

今日放送したのは、
「Alternative Medicine」について検証した番組です。
この番組の感想は、
「犬猫の心と病気のお話」に書いてありますので、
ぜひお読みください。

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2007年7月24日 (火)

猫の行動を理解する

今日は、猫のお話。
以前まで続けていたブログでは、
猫のストレスが関係していると考えられる病気を紹介してきました。
その代表が
猫の膀胱炎です。
私は、病院に来た膀胱炎の猫の飼い主さんに
猫を取り巻く環境や生活について質問しています。
すると、猫がなにかしら不安やストレスを持っていることがわかります。
(もちろんストレスだけが原因ではありませんが・・)

そのストレスの原因のほとんどは、恐怖や不安から来ています。
例えば、一緒に暮らしている人たちや、家によくやってくる人に対する恐怖、
同居している猫たちとの餌やトイレの場所をめぐる争い、
外に出ている猫なら近所の猫との争い、
そして外の環境に対する恐怖や不安(雷や工事の音など)などなど・・・
ところが、飼い主さんは猫がこういった恐怖や不安を抱えているのに、
あまり気がついていないことが多いのです。
なぜかというと、猫はストレスを感じている時の表現方法がとっても微妙だからです。
本当にちょっとした仕草、顔の表情を不安を見せることはあります。
猫同士だったら読み取れるこうしたシグナルも、人間は読み取るのが苦手です。

それに加えて、逃げる、隠れるといった行動は猫の正常な行動であるために、
飼い主の「うちの猫は臆病で・・・」という言葉で片付けられてしまいがちなのです。
つまり、臆病な猫は普通だから、何もしてあげられない、仕方ないと思ってしまうのです。または、逆に臆病すぎる猫には、
怖がるその姿が痛ましくて、ついついなぐさめようとしてしまうこともあります。
残念ながらこれも、猫のストレスを減らすことはできません。

私はこのようなケースでは、飼い主さんに
猫の行動と習性、そして感情表現の方法を、
猫の絵が描いてあるプリントを渡して説明しています。
また、猫にとっては、匂いも大切なコミュニケーション手段であること、
猫の住んでいる環境が、どれだけ大切な意味を持っているかも説明します。
猫の視点で家の中や外の環境を、もう一度見直してもらうためです。

そうやって、猫本来の行動の意味を理解してもらうと、
いかに、猫がストレスに満ちた生活をしているかを
飼い主さんにわかってもらえます。
それは決して、猫の性格だからと
無視してしまえるものではないことにも、気がついてもらいます。
良かれと思って猫をなぐさめている人にも、
それが猫の恐怖や不安を悪化させる可能性があると説明します。

大抵の飼い主さんは、なるほどと納得し、
ではどうしたらいいのか?ということになります。
このような場合、猫の住環境と生活習慣、そして接し方を、
猫の立場に立って改善することで、
猫のストレスを減らしてあげることが可能です。
飼い主と住んでいる家のタイプによって、改善方法が異なりますから、
それぞれの都合に合わせて、アドバイスします。
こうしてアドバイスのかいあって、
猫のストレスを少しでも減らすことができた飼い主さんから、
後日猫たちの様子を聞くことが、私にとっての何よりの喜びとなっています。

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2007年8月23日 (木)

準備運動をしましょう

日本は異常な暑さが続いているそうですね。
十分を水分をとって、飼い主もペットも熱中症に気をつけてくださいね。

さて所変わって、今年のイギリスの夏は夏ではない!!
寒い!今、なんとうちにはヒーターがついています!!

そして連日の雨、また雨・・・強い風や雷も合わさって、

本当に悲しくなるほど惨めな天気が続いています。

暑い日本の皆さまから見ればうらやましい限りかもしれませんが、
やっぱり夏がないって寂しいですよ・・・。

そんなある日、動物病院の待合室に、ジャックラッセルテリアを抱いた女性が座っていました。
私が「今日はどうしたの?」と声をかけると、
この犬
(デイジー)が昨日から急に後ろ足を上げて歩くようになり、とても痛そうなのと話し始めました。

どうも、昨日の夕方、外に出てすぐに、庭にいる鳥を見つけ猛ダッシュで追いかけた後から、
びっこを引くようになったらしい・・。
ジャックラッセルテリアといえば、テリアの中でも動きがものすごく機敏で、
興奮すると止まらなくなるのが特徴的ですが、
どうもデイジーちゃんも例外ではない様子。
鳥やリスを見つけると、いてもたってもいられなくなってしまうのだとか・・。

診察の結果、膝の靭帯が切れている疑いが見つかり、
早速入院、検査と場合によっては手術をすることになりました。
今までだって、小動物めがけて突進していたことは何回でもあるはずなのに、
なぜ今回に限って、こんな大怪我をしてしまったのでしょう?

デイジーちゃんは10歳。人間で言えば中年のおばさまから初老の婦人といったところでしょうか。
やはり、年だから?なのかなと思っていたら、飼い主さんがこんなことを話してくれました。

「実は、デイジーは雨や雷、強い風などが大嫌いなの。
だから今年の夏は、彼女にとってはものすごく憂鬱なのよ。
絶対に外に出たがらず、家のお気に入りの私たちのベッドの上で、
ずーっと寝てばかり。運動は一切したくないという状態だったの。
でも、いったん散歩に連れ出し、小動物を見かけようものならもう大変。
いつものように、まっしぐらに追いかけていくという癖は変わらないの。」

なるほど・・・毎日、寝てばかりで運動不足になり、
体の筋肉や関節がかたく、こわばっているところに、
急にダッシュを駆けたせいで、膝に無理な力がかかったのですね。
そして靭帯が切れてしまったということかも・・・?
やはり日ごろから体をまめに動かし、激しい動きの前には準備運動が必要ということでしょうか?
人間だって、いつもやらないスポーツをたまにしたら、怪我をしちゃったっていうことがありますよね。

デイジーちゃんは結局手術をすることになり、術後しばらくは彼女のお望みどおり、
おうちで安静にしてなくてはいけなくなりました。
でも、その期間が過ぎたら、徐々に運動を再開する方がいいでしょう。
関節に負担が少なくて済む水泳なんか最高です。
また、遊びも好きだというので、トレーニングを取り入れて、
遊びの途中でオスワリやフセで休憩できるような遊び方をするといいです。
お散歩もリードをつけて引っ張らずに、飼い主の顔を見てゆっくり歩けるといいのだけれど。

それともうひとつ、できれば雨や雷の恐怖症を少しずつでも克服できればいいなと思っています。
もし、この恐怖しょうがなければ、雨続きの寒くて嫌な夏の日々でしたが、
きっとお散歩に行って運動することができたはず・・
そしてこんな怪我をしなくて済んだかもしれないのですから。

日常の生活習慣は、病気や怪我に大きく影響します。
犬や猫たちが、普段から気持ちも体ものびのびと、
快適に過ごせるように工夫することも、
怪我や病気の予防のために欠かせないのですね。

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