2005年12月 6日 (火)

イギリスの動物病院

イギリスにおける動物病院は、大きく2つに分かれます。

ひとつは、RSPCAやPDSA、BLUE CROSSといったチャリティー団体が運営している病院。
所得の低い家庭の人が、通常無料で診察を受けられます。
働いている人のお給料や、運営にかかる資金は、
人々の寄付・募金や、専属のチャリティーショップの売上金から支払われます。
イギリスに住んでいらっしゃるみなさんは、街でPDSAのお店を見かけたことがあるのではないでしょうか?
ここで、買い物をしたり、不要品を寄付したり、お金を寄付したりすれば、
それだけで病気や怪我をしたかわいそうな犬や猫たちを、助けることができるのです。

もうひとつは、日本でもおなじみの、一般の開業動物病院。
プライベート動物病院と呼ばれ、診療費がかかります。
かなり高いところもあるようですが、イギリスにはたくさんのペット保険があるので、
ほとんどの診療費は、保険でカバーされ、飼い主にはそれほど負担がかかりません。

個人開業のところもありますが、グループを作っているところもあります。

大きなグループですと、分院が10以上あるところもあります。

私がボランティアをしているMEDIVETは、グループ病院の中でもとても大きなもので、
ロンドン近郊にたくさんの分院を持っています。

レントゲン、手術室、血液検査などの一般検査施設、歯科治療用の設備は、
各分院にあります。

その他、本院では、超音波診断施設、内視鏡診断施設、心電図、隔離入院室、ハイドロセラピー(水中療法)施設、
そして、なんとMRIによる診断も行われます。
これらを選択して診断、治療するため、ほとんど人間の総合病院並みの診療が受けられます。

私が勤めているのは、北ロンドンの高級住宅地、ハムステッド近くの分院のひとつです。
これはまた後で詳しく紹介します。

 

もうひとつ、イギリスの動物医療の大きな特徴は、専門医紹介制度があることです。
もし、一般の病院で検査をしても原因がよくわからない場合、専門医の診察を受けることもできます。
皮膚科、整形外科、眼科、歯科、内科、内分泌科、呼吸器科、脳神経科・・・・・・・・
そして、私がこちらで勉強して、資格をとった、心療内科もあります。
これも、人間並みですね。

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2005年12月10日 (土)

メディベット・べテリナリー・グループ (1)

現在私がボランティアをしているMedivetは、
ロンドンでも比較的規模の大きな病院です。
本院、分院あわせると、実に37件以上のMedivetという名前の動物病院が
ロンドンとその近郊にあるのです。
こんなのを例にするのも変ですが、
スターバックスコーヒーの動物病院版みたいな感じです。
こういった動物病院の経営は、最近のイギリスのメインになりつつあります。
Medivetだけでなく、他にも同じ名前のグループ病院と呼ばれる動物病院が
イギリス各地に存在します。
グループ病院は経営規模が大きいので、医療の質を一定に保てる、
高度医療を行う設備を整えることができるなどのメリットがあります。
また、経営本部の事務所の建物には、レクチャー室もあり、定期的に各分院の獣医師を集めて症例検討会や最新の治療法などについての勉強会が行われていて、
獣医師の質を高めています。
動物看護師の養成もしていて、学生看護師向けのレクチャーも行われます。

私は今、比較的近くにある2件の病院を交互に行き来して働いています。
Hendonにある本院と、
Hampsteadという高級住宅地の近くにある分院です。
この辺に住むセレブリティーの犬や猫も、時々やってきます。
イギリスの人気歌手、ジョージ・マイケルが犬を連れてやって来た時は、
さすがにスタッフ一同大騒ぎでした。

本院であるHendonは24時間いつでも診療しています。
スタッフが交代で常に病院にいるので、
緊急の時は夜中でもすぐに対応してくれて安心です。
入院施設も整っていて、こちらも24時間モニターされています。

院長のリチャード先生はベテラン獣医さん。
すごく頭の回転が早い人で、3人ぐらいの人から質問されても答えられる、
聖徳太子的才能を持った人です。
おまけにとても知識が豊富でどんな症例でも見ます。
外科手術・・特に整形外科が得意で、鮮やかな手さばきで手術をこなします。
そんなベテラン先生なのに、私の行動学の意見なんかもすぐに取り入れてくれたりして、柔軟性に富んでいるところが、最もよいところだと思っています。
そんなわけで、今は彼とうまくコンビを組んで、ひとつの症例に彼が医学的アドバイスを、
私が行動学的アドバイスを与えながら、治療を進めています。

Medivet のサイトはこちら(英語です)

Medivetで診察してほしいけれど、
英語がいまいち分からなくて不安・・という方がいたら、
私あてにメールを送ってください。
お力になれると思います。

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2005年12月13日 (火)

メディベット・べテリナリー・グループ(2)

mHampstead分院長のジョン先生は、非常に勉強熱心で、やさしい先生。
眼科を得意としていることでも有名で、最近は普通に診療以外に、
専門の眼の治療も行っているから、仕事が倍になって忙しいみたいです。
あまりにいい先生過ぎて、飼い主さんから頼まれたら断れない性格。
そんなわけで、普通の分院は時間外はHendon本院に予約をまわすのですが、
どうしてもジョン先生に診てもらいたいという飼い主が後を絶たず、
結局、早朝時間外から病院を開け、夜も診療時間後、遅くまで診療しているので、
ときどきここの分院で働いている看護師から、不満の声が上がるのが玉にキズです・・
(イギリス人は勤勉な日本人と比べると、あまり早出、残業を好みません。
労働者の権利が認められているだけに、時間外に働くことは
権利を守られていないと感じてしまうようです。
時間外は本院に回すことが通例になっていれば、
その不満はなおさらのことなんでしょう。)
こじんまりとした病院内では、午前中と夕方から診察が行われます。
午後になると、簡単な手術が行われます。
また複雑なケースで他の獣医の手伝いが必要な場合は、
車で10分ほどのHendon本院へ連れて行き
検査や手術が行われることもあります。

Hampsteadでは毎週水曜日には、パピークラスが行なわれ、
子犬たちの社交の場にもなっています。

Hampstead分院のオリジナル記事はこちら

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2005年12月17日 (土)

パピークラス

MEDIVETでは毎週水曜日の午後、パピークラスが行なわれています。
私はここでしつけのアドバイスをしています。

その時の様子は こちらのページ に写真入りで紹介されています。
可愛い子犬たちばかりですよ。

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2005年12月20日 (火)

メディベットの学校訪問

2003年の6月のある晴れた日、
MEDIVET HAMPSTEAD GARDEN SUBURBのスタッフが
近くの小学校を訪問しました。
SHOOL VISITと呼ばれるこの企画は、
子供たちに動物病院で働くスタッフたちの様子や、
動物との正しい触れ合い方、病気に対する知識を教えるという目的で行われました。
小学校の名は BLOOKLAND INFANT&JUNIOR SCHOOL。
地元、HAMPSTEAD GARDEN SURBURBに住む
5歳から11歳までの子供たちが通う公立小学校です。
(イギリス公立校では5歳から7歳までがINFANT SCHOOL、
8歳から11歳までがJUNIOR SCHOOLに通います。
名前は変わりますが2つの学校とも同じ敷地内にあり、
児童もほとんど変わりません。)
全校児童たちを集めて話をするのはなかなか大変なので、
今回はYEAR1・・日本でいう1年生のクラスにお邪魔しました。
1クラス約30人程度が一緒に勉強しています。

参加したのは院長のJHON先生と看護師長のALISA、
そして私、さらに病院のマスコット、 JHON先生の飼っている犬のキングスレー君と、
リスのスクイ―ルちゃんです。
まずはJHON先生のお話から・・・
“どうぶつびょういんってどんなところかしっているかい?” という質問に始まり、
病院での仕事、動物たちの病気のこと、
そしてどうしたら動物たちと仲良くできるかなど、
10分程度の話を、時に子供たちの発言を混ぜて行いました。
話の後の質問コーナーになると、積極的な質問が次々に・・・
こちらの学校の授業では、子供たちが積極的に発言することをしっかり教えていて、
また小さい頃から家でも自分の意見をきちんと主張する練習をしているので、
まだ7~8歳というのにしっかりした発言や質問が出て、
私も感心してしまいました。
多かったのは,自分の飼っている犬や猫の話。
みんなやっぱり飼っているペットを自慢したいんですね。

そして話が済むと、次は連れて来たキングスレー君と
スクイ―ルちゃんと子供たちとのご対面です。
キングスレー君の横では看護師のALISAと私が、
知らない犬にはどのように接するかを一人一人指導しながら触ってもらいました。
スクイ―ルちゃんの横にはJHON先生が立ち、
ケージの中にいる動物は噛むこともあるので気をつけること、
決してむやみに手を入れたりせず、そっと観察することなどを指導しました。
こうやって30分程度過ごした後、もうひとつのクラスへと移動したのでした。

クラス間の移動中の廊下でも、犬のキングスレー君は大人気。
彼は大きいけれど性格がやさしく、子供たちにも本当に穏やかに接するので、
みんなのアイドルになっていました。
子供たちは最後に動物のぬりえや飼い方を書いた小冊子をもらって、
みんな満足そう・・

子犬の頃からのしつけが犬にとって大切なように、
子供たちにも動物との接し方を教えることはとても大切なことです。
こうした学校訪問、機会があればまた何度でも行っていきたいものです。

写真入りオリジナル記事はこちら

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2008年4月29日 (火)

パピークラスの成果

昨年の10月からスタートしたMedivetのパピークラス
今までに何頭か卒業生を出してきました。
その卒業生たちが再び病院を訪れるのを楽しみにしています。
・・といっても病気で来るわけではなく、予防注射や去勢・避妊手術などで・・です。

今日は卒業生のローラちゃんが狂犬病の予防注射に訪れ、
3か月ぶりの再会を喜びあいました。
ローラちゃんはミニチュア・プードルですが、
生後6か月にしては結構大きめサイズに成長していました。
きれいなブラウンカラーの毛は、「そろそろグルーミングに出さなくてはいけないの」
と飼い主が言うように、ふさふさに伸びていました。
パピークラスでも見せたやんちゃで愛嬌のある性格は変わりません。
クラスではローラちゃんの甘噛みと飛びつきに悩んでいた飼い主さん。
私を見るなり、さっそく飛びついてきましたが、私がそれを無視し、
優しく飛びつくローラちゃんを押すと、
すぐに悟ったように私の目の前にお座りしました。

診察まで少し待つことになったので、
待合室で飼い主さんに近況を話してもらいました。
彼女はMedivetのパピークラスを卒業後、すぐに地元のドッグスクールに入学。
6週間のビギナーコースを修了したそうです。
そこでは、かなりの優等生だったとか・・。
飛びつきに関しては最初興奮してついジャンプしてしまうものの、
すぐに落ち着いてお座りできるようなったし、
甘噛みも、以前のようにしつこく何度も噛むことがなくなったそうです。
今はリードなしで公園を散歩し、元気に野原を駆けているとか。
(でも呼べばキチンと飼い主さんのところに戻ってくるということです)。
家には小さい子供が2人いて、その子たちもクラスに参加しましたが、
その子たちとも良い関係が築けて、大の仲良しだと言います。
そんなわけで、毎日楽しく暮らしていることがわかりました。

やがて診察の順番がやってきて先生に呼ばれたので、
私も一緒に診察室に入り、犬の様子を見ていました。
身体検査と予防注射の間、特に不安がる様子もなく、
診察台の上でもおとなしく検査を受けていたローラちゃん。
先生と飼い主さんが会話をしている間は、
診察台の上で伏せをして待っていましたし、
耳の中の毛を抜いても、目の検査をしても、注射をしても、
おびえずじっとしていました。
とてもお利口だったので、ご褒美のおやつをたくさんあげてうんと褒めてあげました。

ローラちゃんがお行儀よくできたのは、病院でのパピークラスのおかげだと思います。
クラスでは、しつけはもちろんのこと、
動物病院という、犬にとっては怖いと思われやすい場所に慣らすこと、
そこで落ち着いてリラックスできるようになることに重点を置いています。
その成果が見事に出て、診察中も落ち着いていられたというわけです。
診察したリチャード先生も飼い主さんも、ローラちゃんの態度にとても感動していました。
私も、それを見てとてもうれしくなったのでした。

これからも、たくさんの子犬たちがクラスにやってくると思いますが、
どの子もローラちゃんのように育ってくれればと願っています。

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